中国緑茶 業務用 仕入れ

中国緑茶の眉茶と珠茶、日本の業務用バイヤーはどちらを選ぶべきか

中国緑茶 業務用 仕入れ

日本のバイヤーが中国緑茶を再評価する理由

日本の緑茶市場は自国産が中心で、静岡・鹿児島・宇治の煎茶や抹茶が小売の主役です。しかし業務用の現場では事情が違います。中華料理店や飲茶、チェーン飲食店のウェルカムティー、ティーバッグの原料、ペットボトル茶飲料の抽出原料、そしてPB商品の原茶として、中国産の緑茶は毎年まとまった数量が輸入されています。理由は三つあり、第一に安定した通年供給、第二にキロ単価の低さ、第三に味の設計自由度の高さです。

日本産の一番茶は香りと甘みに優れる一方で、数量と価格が収穫期に強く連動します。業務用で毎月同じ味を同じ価格で出し続けるには、中国産の原茶を土台にして日本産を一部ブレンドする、あるいは中国産だけで味を設計するほうが現実的な場面があります。本稿では、中国緑茶の代表的な二系統である眉茶(メイチャ、Chunmee 41022)と珠茶(ガンパウダー、Gunpowder 3505)を、日本の業務用バイヤーの視点で比較します。感応検査の見方、グレードの読み方、ポジティブリスト制度への対応、コンテナ単位のコスト試算までを一通り扱います。

眉茶(Chunmee 41022)とは何か

眉茶は、茶葉を細い眉のような形に揉み込んだ中国緑茶です。なかでも41022は最も流通量の多い品番で、葉は細く、よじれが均一で、色は濃い灰緑色をしています。釜炒りに近い加熱工程を経るため、香りは栗やナッツに近い火香があり、日本茶の蒸し製とは明確に異なる香気を持ちます。淹れたときの水色は黄緑色で透明感があり、渋みは出足が速く引くのも速いのが特徴です。

日本の業務用で眉茶が選ばれるのは、味の輪郭がはっきりしているからです。中華料理の食事茶として、あるいは甘味やミルクと合わせる飲料原料として、味が負けない強さがあります。茶葉が細かいため抽出が早く、業務用の大型抽出器やティーバッグの連続充填ラインに向きます。一方で、細かいがゆえに粉の発生が多く、充填機の目詰まりや歩留まり低下を起こすことがあるため、ふるい下の管理を仕様書で指定する必要があります。

産地は安徽・浙江・江西が中心で、春茶・夏茶・秋茶の区別があります。春茶は芽先が多く香気が立ち、夏茶は茎が増えて苦味が強くなり、秋茶は水色が薄くなります。日本のバイヤーが最も注意すべきはここで、同一品番でも季節で味が動きます。契約書には品番だけでなく、季節と茎率を明記してください。

珠茶(Gunpowder 3505)とは何か

珠茶は、茶葉を小さな粒状に丸めた中国緑茶です。3505はその上位グレードにあたり、粒が締まって丸く、手のひらで握っても崩れにくく、表面に艶があります。淹れたときの水色は黄緑色で、眉茶より厚みがあり、香りはやや焙煎寄りで、最後にわずかな燻香が残ります。粒がゆっくり開くため、二煎・三煎と淹れても味が落ちにくいのが実用上の長所です。

日本市場では、珠茶は業務用のポットサービスやティーバッグ原料として根強い需要があります。特に、抽出時間が長くなりがちな保温ポットや、客人が自分で注ぐスタイルの飲食店では、味が薄くなりにくい珠茶のほうが歩留まりが良いという評価があります。また、粒が締まっているため輸送中の香気劣化が少なく、海上輸送を経て日本の倉庫で三〜四か月かけて消化する商流に向きます。

注意点は抽出設計です。粒が開くまでに時間がかかるため、ティーバッグに充填する場合は粒度を整えるか、抽出時間を長めに設定する必要があります。2gのティーバッグで3分抽出という日本式の設計にそのまま当てはめると、味が薄く出ることがあります。試作の段階で、実際の抽出条件で比較することを強く勧めます。

日本市場での用途別の使い分け

飲食店・業務用ポット

中華・飲茶・アジア料理の食事茶としては、珠茶3505が扱いやすい選択です。保温ポットでも味が持ち、客人が注ぎ足しても破綻しません。一方、甘味やデザートと合わせる用途では、渋みの出足が速い眉茶41022のほうが味の切り替えがよく、口直しに向きます。

ティーバッグ原料

ティーバッグは抽出速度と粉の量が品質を決めます。眉茶は細かいため出が早く、短時間抽出の商品に向きますが、粉率を1.5%以下に抑える指定が必要です。珠茶は粒度を整えたうえで使うと、味の持続性が売りになります。いずれも、充填機のメッシュに合わせた粒度選定を先に決めてから品番を選ぶ順序が正解です。

PB・OEM商品

自社ブランドで小売に出す場合、原茶の選択は表示と価格設計に直結します。中国産と表示される商品では、産地と品番の一貫性が信頼につながります。OEMでは300kgから小ロットで立ち上げられるため、まず一つの品番で試験販売し、売れ筋を確認してからコンテナ単位に拡大する進め方が現実的です。

味と価格の比較

下表は、業務用の現場で比較される項目を整理したものです。数値は一般的な取引レンジであり、実際の値はロットごとの検査成績書(COA)で確認してください。

項目 眉茶 Chunmee 41022 珠茶 Gunpowder 3505
形状 細い眉状のより葉 締まった粒状
乾茶の色 濃い灰緑色 濃緑色で艶あり
水色 黄緑色、透明 黄緑色、やや濃厚
香り 栗様、火香が明瞭 やや焙煎寄り、微かな燻香
渋み 出足が速く、引きも速い 丸みがあり、後から出る
抽出速度 速い 遅い
二煎・三煎の持ち 中程度 良好
水分(GB 5009.3) 6.5%以下 6.5%以下
総灰分(GB 5009.4) 7.0%以下 7.0%以下
粉末率 1.5%以下 1.0%以下
茎率 2〜5%(グレードによる) 低く、実質的に問題になりにくい
想定FOB単価 450〜600円/kg 470〜630円/kg

単価は眉茶のほうがわずかに安く、上位グレードや春茶では珠茶に近づきます。ただし比較すべきはキロ単価ではなく、抽出後の杯数あたりのコストです。珠茶は同じ重量でより多くの杯数が取れるため、業務用では逆転することがあります。試作では必ず、実際の抽出条件で杯数を数えてください。

グレードの見分け方

中国緑茶は品番だけでなくグレードで価格が大きく動きます。眉茶では41022の後にAAA(上級)、A(一級)、数字のみ(標準)が付き、珠茶では3505が上級、9372や9475は粒が緩く色がくすんだ下位品です。日本のバイヤーが最も多い失敗は、品番だけを指定してグレードを書かないことです。サンプルと現物が一致しない原因の大半はここにあります。

グレード サンプルでの見分け方 想定用途 価格位置
41022AAA 葉が非常に細く均一、砕葉が少なく芽先が多い 専門店、上位PB、高単価業務用 高
41022A 細くよくよじれている、砕葉がやや増える PB標準品、ティーバッグ原料 中
41022標準 よりが緩く、茎が見える、色むらがある ブレンド用、低単価業務用 低
3505 粒が締まり艶がある、握っても崩れない 飲食店ポット、高単価ティーバッグ 高
9372 / 9475 粒が緩く色がくすむ、砕葉が多い ブレンド用、低価格帯 低

サンプルは白い紙の上に出し、指で押して硬さを見てください。珠茶は粒が硬く、押しても崩れないものが上級です。眉茶は葉の長さが揃っているか、砕葉と茎が混ざっていないかを確認します。乾茶の香りは、カップに取って手で覆い、温めてから嗅ぐと差がはっきり出ます。

日本の残留農薬規制と輸入実務

日本向けで最も重要なのが、食品衛生法に基づくポジティブリスト制度です。茶は「茶葉」として規制され、抽出液ではなく乾燥した茶葉そのものの残留濃度で判定されます。この点は欧州と同じ考え方で、淹れたお茶が基準内でも茶葉が基準を超えれば不合格になります。したがって、ロットごとの残留農薬分析データが必須です。

実務の流れは次のとおりです。まず、出荷前に指定の農薬成分について分析を行い、COAに成分名・数値・分析法・ロット番号を記載します。次に、日本到着後に食品等輸入届出を行い、必要に応じて保税倉庫や検疫所での検査対象になります。分析は登録検査機関の利用が一般的で、初回は日数を要するため、船積み前にスケジュールを組んでおくことが重要です。基準を超えた場合の再送は、往復の輸送費と販売機会の損失が大きく、事前検査の費用対効果は非常に高いといえます。

表示については、食品表示法に基づき、名称、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、輸入者名を整えます。中国側の基準としては、緑茶のGB/T 14456、汚染物質のGB 2762、残留農薬のGB 2763があり、COAにこの三つとの整合を記載させるのが実務的です。有機表示を行う場合は、有機JASの認定事業者による格付が必要で、中国側の有機認証をそのまま日本の有機表示に使うことはできません。

輸入コストの試算

コストはFOB単価だけで決まりません。20フィートコンテナには25〜30kgの袋詰めで概ね10〜12トン、40フィートで18〜22トンが入ります。11トン、FOB単価520円/kgのケースで試算すると次のようになります。なお海上運賃と為替は変動が大きく、下記は目安として扱ってください。

項目 計算 概算(円)
商品代 FOB寧波 11,000kg × 520円 5,720,000
海上運賃 寧波〜東京/神戸 20GP 季節料金 250,000〜450,000
海上保険 CIF価額の0.3〜0.5% 20,000〜30,000
関税 HSコードと包装形態により異なる 通関業者に確認
通関・保税倉庫・国内配送 手数料、蔵入れ、配送 180,000〜320,000
残留農薬分析(初回) 成分数により変動 30,000〜80,000
着荷後原価 合計 ÷ 11,000kg 約570〜600円/kg

この試算から分かるのは、少量輸入では固定費の比率が跳ね上がるということです。500kgの試験輸入では、通関と分析だけでキロ単価が100円以上上がります。まずはサンプルで味を確認し、次に500kgで市場テスト、売れ筋が見えたらコンテナ単位に切り替える三段階が、資金効率の面で最も無理がありません。

MOQ・サンプル・決済条件

条件 一般的な取り決め
バラ売り最小ロット 品番ごとに500kg
OEM・PB最小ロット 品番ごとに300kg
サンプル グレードごとに50〜200g、無償、送料は着払い
受渡条件 FOB寧波/上海/厦門
決済 T/T 30%前払い・70%船積書類提示時、または一覧払いL/C
納期 在庫品7日、OEM 15〜25日
梱包 25〜30kgのPP織袋(PEライナー付)、充填ライン向けに5〜10kgの化粧箱も可
コンテナ積載 20GP 約10〜12トン、40GP 約18〜22トン
添付書類 インボイス、パッキングリスト、原産地証明、植物検疫証明、ロット別COA、衛生証明

サンプルは必ず「船積みするロットから」取るよう指定してください。前年の在庫から送られたサンプルで味を決め、現物が違うという事故は少なくありません。受け取ったサンプルは半分を密封して保管し、着荷時に比較できるようにしておくと、判断の根拠が残ります。

よくある質問

眉茶と珠茶、日本の業務用ではどちらが無難ですか

飲食店のポットサービスやティーバッグ原料なら珠茶3505が扱いやすいです。粒が締まっていて味が長持ちし、輸送中の香気劣化も少ないためです。甘味と合わせる用途や短時間抽出の設計では眉茶41022が向きます。

残留農薬はどの時点で確認すべきですか

船積み前のロット検査が基本です。茶は茶葉そのもので判定されるため、抽出液ではなく乾茶の分析値が必要になります。日本到着後の検査で不合格になると、再送のコストと販売機会の損失が大きくなります。

最小ロットと、複数品番の混載は可能ですか

バラ売りは品番ごとに500kg、OEMは300kgです。複数品番を同一コンテナに混載できるため、固定費を分散させたい場合に有効です。

サンプルは無償ですか

グレードごとに50〜200gを無償で提供しています。国際宅配の送料は着払いとなります。船積み予定ロットからのサンプル指定をお勧めします。

有機JASとして販売できますか

中国側の有機認証だけでは日本で有機表示はできません。有機JASの認定事業者による格付が必要です。通常の緑茶としての輸入とは書類も検査も別になるため、事前にご相談ください。

味の比較用サンプル、ロット別の検査成績書、PB立ち上げのご相談は、厦門の輸出チームまでお問い合わせください。緑茶全般の選び方は緑茶ガイド、日本向けの商流は日本市場向けのページ、品番別の仕様は眉茶41022の仕様と珠茶3505の仕様、PBの進め方はOEM・自社ブランドのご案内でご確認いただけます。